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産後ケアのNPO法人マドレボニータ オフィシャルブログ

2015年3月25日水曜日

Googleインパクトチャレンジに提出した申請書の一部を紹介します。


申請書

Googleインパクトチャレンジに提出した提案書の一部をご紹介します。

提案されているプロジェクトの概要を、以下の構成で要約してください

※このプロジェクトは [テクノロジー X] を使って [大きな社会問題 X] に取り組む。
我々のプロジェクトは [期間 X] 以内に [大きな社会問題に対する影響を与えるプロジェクト X] を行う。

このプロジェクトは家族や友人が出産祝いに産後ケアを寄附という形でプレゼントする
「産後ケアバトン制度」というアイデアを使って、産後ケアの普及に取り組む。
日本では旧来の文化的・教育的問題から、産後ケアの必要性が認識されず、公的なケアもない。
産後の心身の回復が十分でないことは、産後鬱、乳児虐待、早期離婚を引き起こし、
育児にネガティブな影響を及ぼす。本プロジェクトは2017年までの3年間で年間2万人が
産後ケア教室に参加し、妊産婦とその家族や友人年間30万人に産後ケアに関する知識を
届けることを可能にする。

プロジェクトはどの段階にありますか?

「産後ケアバトン制度」全体のうち、産後ケア教室はすでに15年にわたり実施。
2015年現在で日本全国13都道府県50箇所で開催。本プログラムを実施する
インストラクターの養成・認定・更新制度は整備済み。
21人の認定インストラクターが稼働中。
2014年の参加者数実績は6,610名だが、現在のインストラクターの人数で、
年間15,000名の参加者に届けるキャパシティあり。養成コースは年に1度実施。
2015年は3名デビュー予定。また、ひとり親、多胎児の母、障がいのある児の母など
「社会的に孤立しやすく支援が必要な女性」への寄附制度については2011年より実施しているが、
家族や友人が出産祝いに産後ケアを贈り、参加者が次世代の産後女性に贈りバトンを
つなぐという仕組みはアイディアの段階である。

あなたのプロジェクトが解決しようとしている課題は何ですか?
また、それはどの程度大きい課題ですか?可能な範囲で、
統計などを使ってご説明ください。

日本における妊娠中の母体へのケアは非常に手厚く、新生児死亡率は世界最少である。
しかし、出産後のケアはほとんどなく、旧来の文化的・教育的な問題から、出産が母体に与える
ダメージの知識や産後ケアの必要性が驚くほど認知されていない。
産後の心身の不調は、家族とのコミュニケーション不足を引き起こし、母子を孤立させ、
産後鬱や乳児虐待にもつながる。統計的にも日本における産後鬱病の発症は年間10万人、
そのほとんどが出産後1-2ヶ月で発症。乳児虐待の犠牲者の44%が0歳児かつほとんどが
母親によるものである。産後2年以内の離婚は子どものいる家庭の離婚の3割を占める。
2009-2013年の5年間では他殺による年齢別死亡者数は0歳児が群を抜いて最多。
虐待が原因とみられ、早急に対策を講じる必要がある。

本プロジェクトが成功した場合の期待効果について、説明してください。

2017年までの3年でインストラクター27名により産後ケア教室が1回10名の参加者で年間80回開催。
年間2万人の産後女性が産後ケア教室に参加し、産後女性とその家族や友人年間30万人に産後ケアに
関する知識を届けることが可能になる。これにより、出産後、低下した体力と精神状態が改善。
女性とその家族が産後の心身の変化にあわせたコミュニケーションをとり、女性が1人で育児を
抱え込まない環境を維持することで、産後鬱、乳児虐待と虐待による乳児の殺害、離婚の防止に寄与する。
産後ケア教室の効果は日本助産学会誌の文献を参照。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/27/1/27_83/_pdf
教室の動画 
http://youtu.be/FLnXSjRdiNE

上記に記入頂いたインパクトにつき、効果を測定するための指標を 
1~3 個程度挙げてください。また、これらの指標をどのように測定しますか?

1.産後ケアバトン制度で産後ケアの知識を得た人数:産後ケアバトン制度を使って
産後ケア教室に参加した人数、産後ケアバトン制度のアプリケーションを利用した人数、
産後ケアバトン制度サイトへの訪問者数。
2.産後ケアバトン制度の利用数:産後ケアバトン制度を使って産後ケア教室チケットを贈った件数
と実際に利用して参加した件数。
3.産後ケアバトン制度での寄附額:産後ケアバトン制度の寄附入金金額。
これらの数値を取得する仕組み自体を本プロジェクトで構築。

本プロジェクトはどのようにテクノロジーを活用しますか?

本プロジェクトでは、「家族や友人が」「身近な妊産婦に」
「出産祝いとして産後ケア教室の参加チケットを贈る」という行為を、
クリックと簡単な入力のみで行えるアプリケーションとサイトを構築する。
チケットの贈り主が出産日を入力、妊産婦の心身のケアに関する知識や適切なサポート方法が
適切なタイミングで贈り主に通知される。贈られた産婦は、自らもアプリケーションやサイトにて
適切な情報を得て教室に参加。終了後オンラインアンケートに答える。
その際「教室を友人に紹介」「教室参加チケットを贈る」というボタンが表示され、
SNSで教室の情報をシェアしたり、参加費をオンラインで寄附できる。
参加後も定期的にアプリケーションやメールで産後ケアのメッセージが届き、
同時に善意の連鎖を繋ぐ瞬間を逃さないよう寄附への動線を確保する。

本プロジェクトが他のプロジェクトと異なる
主なインサイトやイノベーションは何ですか?
何がこのプロジェクトをユニークなものにしていますか?

日本で習慣化している出産祝いの文化を活用し、家族や友人が妊産婦に産後ケアを
アプリケーションを使ってプレゼントする。
同時に妊産婦は必要な時に必要な産後ケアに関する知識を、
適度な責任感と共に受け取ることが出来る。
さらにこのアプリケーションは、贈り主である家族や友人にも妊産婦の状態や産後ケアの情報を伝える。
これにより周囲の理解が深まり、妊産婦を取り巻く環境自体が向上する。
そして最後に、この仕組みではプレゼントを受けた妊産婦自身が、次は他の妊産婦への贈り主となり、
善意の連鎖を繋ぐことが出来、次の妊産婦や子どもたちを悲劇から救う。
こうして妊産婦や周囲の人たちが、自ら社会を変えるインパクトを巻き起こし、
子どもを持った女性とその家族がより幸せになる日本を作る。
それが私たちが成し遂げたいチャレンジである。